こんにちは、歯科衛生士の寺西です。今回はインプラントと歯周病の関係についてお話ししようと思います。

インプラントのケアを怠ると…

皆さんの中にはインプラントを入れたら、治療はそこで終わりと思っている方が少なくはないと思います。実はそうではありません。インプラントは虫歯にはなりませんが、ケアを怠ると歯周病（インプラント歯周炎）になるんです！

インプラント自体は人工物のため虫歯にはなりませんし、欠けたりすることもめったにありません。しかし、インプラントが埋まっている歯槽骨・歯肉は天然のものであるため十分な管理ができていないと、歯肉炎・歯周病にはなります。

インプラントの歯周病

インプラントの歯周病は大きく分けると2つに分類されます。1つはインプラント周囲粘膜炎。もう1つはインプラント周囲炎です。
インプラント周囲粘膜炎はいわゆる『歯肉炎』の状態です。インプラント周囲の粘膜に炎症がみられますが、骨の吸収は起こっていません。そして、インプラント周囲炎はいわゆる『歯周病』の状態です。インプラント周囲の粘膜に炎症がみられ、骨の吸収が起こっています。

自覚症状が出ないまま進行していきます

このインプラント周囲炎は、進行速度が天然の歯の歯周病よりも速いといわれています。その理由は天然の歯と比べた時に、インプラントの周りの組織は炎症に対する抵抗力が弱いからです。しかも歯周病同様に自覚症状が出ないまま進行するため腫れや出血、動揺が見られた時にはかなり進行していることもあります。そうなるとインプラントを抜いてしまわないといけないことになりますが、再度インプラントをすることが難しい場合もあります。

なぜこのようなことが起こるかというと、インプラント周囲のプラークが原因であったり、過重負担、かみ合わせに問題があったりするからです。インプラント体のゆるみも原因の1つです。

毎日のケアをしっかり行うことが大切です

せっかくインプラントを入れ再びおいしく食事ができるようになったのに、上記のようなことになってしまってはもったいないと感じます。そのまま続けて食事を楽しむためには、やはり毎日のケアをしっかりと行なっていただくことが重要になります。お家でのセルフケアとしては、歯ブラシをご自身の歯と同様にしっかり当てて磨いていただくこと。ワンタフトブラシを使用し細かいところまで磨くこと、が大切です。

ただしセルフケアのみでは限界があるため、やはり定期的にプロフェッショナルケアを受けていただければと思います。複数インプラントが入っている方は歯と歯の間の部分、１本の方も上部構造と歯肉の間の部分など、普段の歯ブラシが届きにくくプラークが残りやすい部分を機械的に清掃させていただきます。何か分からないことがありましたら歯科医師・歯科衛生士におたずねください。

歯科衛生士　寺西